株式会社 ナナイロ
株式会社 ナナイロ

MENU
インタビュー
社員インタビュー[ファストエンジニアリング事業部 システムエンジニア]
2022.01.25
 

社会に役に立っている実感、
それがモチベーションの維持へつながる

先端の研究で磨いたプログラミングスキル

ファストエンジニアリング事業部 システムエンジニア
齋 正範

実習と課題の日々

コンピューターの世界と触れ合ったのは、おそらく中学生の頃です。パソコンゲームが入り口でした。そこから興味がわき、プログラムを学びたくて情報学科のある大学へ進学しました。そこで初めて生まれ育った仙台を離れて関西へと移り住みました。

それから大学院での2年を含む6年間、実習と課題を繰り返し、腕を磨きました。所属した研究室は当時、2Dの画像から3D画像を生成するなど、カメラで撮影した画像データをコンピューターに認識させ、それを利活用する「コンピュータービジョン」の分野において先進的な研究をしていました。当時私の所属していた研究室を率いた担当教授は、自らベンチャー企業を起こした方で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(通称・NEDO)に技術を評価される研究をするような同僚にも恵まれました。私も国内外の学会に何度か参加することができ、大変有意義な充実した学生生活だったと思っています。

研究室では学べなかったもの

“職業”としてのITエンジニアへ

大学時代に取得した資格は、基本情報処理試験とTOEICくらいですが、今思えば勉強しておいて良かった、と思える2つになりました。「就職に強い大学」ではあったんですが、色々と考えた末に1年の就職浪人という選択に至って、仙台に帰ることにしました。帰仙後、県が主催する資格取得と就職支援が一緒になった講座を受講し、ORACLE MASTER取得後、2004年に前職の会社にSEとして入社しました。

当時の会社は、企業向け(BtoB)のウェブシステムを中心にしつつも幅広い開発業務を行う会社で、私自身はBtoCのWindowsアプリの開発を行っていました。プログラミングやアルゴリズムについては、学生時代に培ったものが大いに生きましたが、UIやデザイン、動作テストなどの面では大変苦労しました。

というのも、学生時代は研究室の中で、内輪でどうなっているかが理解できるUIで済みましたし、操作画面の見た目の美しさなどについて、発表の際に外部の目を意識することはありましたが、その重要性は人それぞれで、私としてはあまり高い優先順位ではありませんでした。しかも理解している人の集団の中で、動けばOKという感じで、とにかく先へ先へと開発を進める環境だったので、企業に所属しお客様のために開発をする、ということが全く違う世界だったのです。逆に言えば、1px単位にこだわるデザイナーや多様なユーザーの声を反映したテストなど、関わる人の分野が大きく広がったことを感じました。

その後、現在のナナイロの前身であるPRO&BSCに転職し、現在に至ります。

iPhoneの衝撃

好奇心からの船出

iPhoneの登場はとても衝撃的でした。2007年6月の発表、2008年の日本上陸から10数年で、スマートフォンがこれだけ一般的になるとは、当時は想像すらしていませんでした。

初めてiPhoneを見た時から「すごいハードだ」「UIがキレイでヌルヌル動く」「触ってみたい」と、好奇心が次々湧き上がってきたことを覚えています。そこで趣味の範囲でアプリ開発を始めました。

それまでにMacアプリの開発という仕事にも携わったことがあったので、iPhoneアプリの開発でも使用するObjective-Cという言語の経験があったので、すんなりと始められました。様々な勉強会にも参加しましたし、私自身も主催して、この新しく魅力的なハードの特徴を生かすアプリ開発のために最新情報を共有する機会をとにかく求めていくうちに、数年で正式に仕事になるようになった、という感じです。

初めて仕事で作ったiPhoneアプリは、とある日本企業の北米市場向けアプリだったのですが、リリース時にニューヨーク・タイムズ紙に記事が載ったのです。大企業がアプリを作ること自体が珍しかったということもありますが、一早くアプリ制作に参入した結果、こうした企画に関わることができたというのは、今思えばラッキーだったな、と思います。

現在は、クライアント様と高機能なカレンダーアプリや某国家試験の問題集アプリなんかを開発・運営しています。iPhone向けのアプリを開発するようになり、BtoC向けのアプリと関わることも増えました。BtoCに関わるようになって感じるのは、レビューがあることの重要さです。社会に役に立っている実感が得られますし、それがモチベーションの維持につながっていると感じます。

求められる高い情報感度

勉強会への積極参加でたどり着いた現在地

iPhoneアプリ開発の場合、毎年のiOSアップグレードとそれに伴う大きな仕様変更への対応がとても大変です。例えばiOS6から7へのアップデート(2013年)では、ガラッと変わりすぎて、1年前のソースコードではアプリが動かない、なんてことがあったほどです。

また開発環境もどんどん変わっていっています。先述の通り、最初の頃はObjective-Cという言語を使っていましたが、最近ではSwiftに切り替わっています。Swiftは、登場した頃は互換性や安定性に不安があり、敬遠する声もありましたが、ここ2〜3年で安定してきました。Swift1本でかなり色々なことができるようになり、これで完結できていると感じます。

ここまでの話でお分かりの通り、iPhoneアプリ開発者にとって、最新情報の継続的な入手は欠かせません。まず最も大切なのは、毎年6月に開催されるWWDC(Appleが主催する世界開発者会議)のチェックです。ここで発表される最新情報が、向こう1年の私たちの開発環境を決めるので、見逃すわけにはいきません。

そして開発者同士が情報を共有する場での勉強もとても大切です。私の場合は、東京で開催されるディベロッパー向けイベントへの出席なんかがそれに当たります。最新情報が飛び交う、開発者同士のコミュニティはこれからも大切にしていきたいと思います。

ちなみに、たまに「仙台におけるiPhoneアプリ開発業界で有名人」という紹介をしていただくことがありますが、これも数多くの勉強会に出席、あるいは主催することで、開発者の皆さんの間で、それなりに名の知られた存在になったからに他なりません。照れくさいですが(笑)。

これからアプリ開発を志す方は、ぜひアプリ公開までのすべてを一度経験してみたら良いと思います。企画し、開発し、リリースする、という一連の中に、大小に関わらず本当に様々な作業が含まれていて、これをやり通した人には経験、という武器が備わるからです。ぜひ挑戦してみてください。


[取材:早坂 智]